指の骨の延長に対する期待が毎日少しずつ大きくなっていく

俺は手が小さい。これはものすごく認めたくないことだけど事実で、オクターブも危ういくらい小さい。ピアノを練習し始めて音楽への興味や意欲はどんどんと強くなるのだけど、それに追いついたり、理想だと思っているレベルへ到達できるだけの手段を初めから持っていないのだ。これは正直経験したことがないことでめちゃくちゃ悲しい。悔しい。例えばだ。ものすごく顔の醜い男がある女を好きになったとして振り向いてもらえないのだとしたら強姦するという手段があるだろう。本人が満足するかとか、相手への配慮を無視すればの話だが目的は達成できる。だが9〜10度の和音を押さえたりオクターブの連打に耐えたいという願いは強姦では叶わない。ピアノは女ほど簡単ではないみたいだ。
そこで自分を変える手段がある。指の骨を延長するというものだが、手術や入院も大変だし、何しろ一番怖いのは後遺症だ。指がしびれたり、握力がなくなったりしたら意味がない。別に美容だけのためにやるわけではないからだ。また費用も高額だ。何故僕ばかりこんな目にあうのかと本当に辛い。僕だけアトピーで躁鬱でaddでおまけに指まで短い。ようやく躁鬱とaddが音楽というオアシスを見つけて安らいでいたのにそれもつかの間だった。なんでだよ。
弟や妹は健全な身体で精神だって性格にこそ問題はあっても精神病なんかじゃない。俺だけこんな星の下に生まれて、楽しくない。